吉田がキャラホビで企んでる

”今、自分がいちばん見たい番組みてキャラホビを目指す”というコンセプトのもとに吉田が話題のアニメに物申す!

放送まとめ

吉田がアニメで企んでる第35回「コラボレーションに立ちはだかる大人の事情!」

投稿日:

今回も華のあるアニヲタさんをお迎えしました! 2013年・春にSKE48を卒業した平松可奈子ちゃんです!

――「はじめまして」と挨拶から始まった吉田さんと可奈子ちゃん。吉田さんは毎週月曜日にSKE48の松井玲奈ちゃんとニッポン放送のラジオ番組をやっており、「(可奈子ちゃんは)素っ頓狂な人」と言われたそうで…

平松
私は玲奈ちゃんから『よっぴーさんは優しいから、何も考えないで座ってても大丈夫だよ』って言われて来ました!

吉田
それは何も考えずにアニメのことだけを話せばいいってこと?

平松
はい! アニメ大好きです

吉田
でも変な入り方をしたんだよね?

平松
そうなんですよ。もともとあんまりアニメは興味なかったんですが、SKE48に入って、松下唯ちゃんにロッカー部屋の隅っこに呼び出されて『乙女ゲームってどう?』って言われたんです。それで、すごくかっこいいですって言ったのが始まりなんです

吉田
SKE48には2次元シンジケートみたいなのがあるの?

平松
2次元同好会っていうのがあるんですよ。今は昔の作品を見ながら勉強中です

吉田
今日はそんな平松さんにぴったりな企画ですね

――本日お届けするのは「ルパン三世 vs 名探偵コナン THE MOVIE」。「ルパン三世」「名探偵コナン」という国民的作品を知り尽くしているそれぞれのプロデューサーをお呼びして、知られざる裏話を聞くのが今回の企みだそう。果たしてどんな話が飛び出してくるのか!?

ゲストProfile
中谷敏夫(なかたにとしお)。アニメ「ルパン三世」のプロデューサー(日本テレビ)。「HUNTER×HUNTER」「DEATH NOTE」「カイジ」などを手がける。
諏訪道彦(すわみちひこ)。アニメ「名探偵コナン」のプロデューサー(読売テレビ)。「シティハンター」「犬夜叉」「YAWARA!」などを手がける。あだ名はスワッチ。
平松可奈子(ひらまつかなこ)。元SKE48。SKEのメンバーからアニオタ教育を受け、現在もお勉強中のアニヲタ。意外とディープなアニメも見ている。

「大人の事情」を乗り越えたのは「子ども心」

どう見ても会社員には見えない「ルパン」プロデューサー中谷さん(左)と、コナンジャンバーの「コナン」プロデューサー諏訪さん(右)

――吉田さん曰く、わかりやすいプロデューサー像と評する「名探偵コナン」のプロデューサー・諏訪道彦さんと、今回が初対面で、吉田さん曰く「TV局の偉い人なのに、こんな服装の方はなかなかいない」という「ルパン三世」のプロデューサー・中谷敏夫さんが登場。12月7日に公開した「ルパン三世 vs 名探偵コナン THE MOVIE」は放送日の前日までで125万人動員突破の快進撃。この2つの作品、別々の映画として2本立てで上映されてもいいぐらいのビックタイトルなのに、なぜコラボ作品になったのか。まずは、TVスペシャルでコラボレーションに至った経緯(※1)についてお聞きします。

吉田
諏訪さんは『コナン』は立ち上げから関わってらっしゃるから、確実に全部見ていますよね?

諏訪
そうですね。忘れてるのもあるかもしれないですけど

吉田
中谷さんはもちろん『ルパン』は全部見ていますよね?

中谷
見ているんですが、『ルパン』の一番最初の放送が1971年。僕は1968年生まれなので、3歳のときから『ルパン』はやっていたんですね。まさか自分が『ルパン』を担当することになるとは思わなかったので、会社に入ってからルパンを見ました

――まずは、映画についての概要のVTRから。大泥棒ルパン三世と名探偵江戸川コナンの注目の大一番が実現! 幻の秘宝・チェリーサファイヤを巡る大事件が発生。ルパン一味の企みとコナンの名推理が激突。そこに謎の巨大組織の陰謀が迫る。すべて明らかになった時、世紀の大勝負の幕が開ける。

吉田
がっぷり四つに2つを掛け合わせてる作品だと思うんですけど。普通に生活してて、例えば大ヒットシリーズが2つあって、それを『混ぜよう』ってそもそもが思わないと思うんですよね。両方がヒットしてるからと言って、『サザエさん』と『クレヨンしんちゃん』を一緒にやりましょうって話にはならないじゃないですか?

諏訪
まあ、局も違いますしね

吉田
局は系列局だったとしても、『ワンピース』と『サザエさん』混ぜようかっていうと、混ぜないと思う

諏訪
現実的に(同じテレビ朝日の)『ドラえもん』と『しんちゃん』はやらないでしょうね

吉田
そうですよね

諏訪
それぐらいやらないことなんだと思いますよね

吉田
そもそも発想しないことだと思うんですよ。同人誌の世界ですらあんまり見なかったことですから、相当発想が自由じゃないと作れないと思うんですけど…。一番初めに思いついたのは、どなただったんですか?

諏訪
日テレさん(の中谷さん)から来ました

中谷
テレビ55周年(※2)で、アニメーションで特別なことを、特番ぽいのをやりたいということを考えまして…。普通じゃ考えられないことをやりたいと。その時に『何かと何かをくっつけたらどうなるんだろう』っていうところから来て

吉田
くっつけようだったんですか?

中谷
『ルパン』単体でも、『コナン』単体でも、テレビのスペシャルって部分では弱いかな…みたいな。お祭りを起こしたいな、みたいなことから考えてですね…。いわゆる『ゴジラとガメラが戦ったら面白いな』とか、『(アントニオ)猪木と(ジャイアント)馬場が戦ったら面白いな』とか、でもやれない大人の事情ってあるじゃないですか

吉田
ええ、それはありますね

中谷
大人の事情だらけですよね。その中で、もしかしたら突破できるかもしれない“大人の事情”というところが『コナン』と『ルパン』だったという

諏訪
お話をもらったのが2007年の6月ぐらいだったんですけど、コラボができたら面白そうだなとは思ったんです。でも『ルパン』の世界にコナンが入ったり、『コナン』の世界にルパンが入ったりが果たしてできるのだろうかと思って、中谷さんと一緒に考え始めたんです

――アニメ会社が同じ、系列局であるという僅かな可能性から、お祭りとして「できたら良いね」レベルで話を進めたそうですが、その過程では多くの難題が…

中谷
両者の絵描きさんが違いますからね。要はキャラクターデザインさんが違うんで、ひとつの画に対して2人のキャラデが手を入れているっていう…

吉田
あ! そうなんですか!!

中谷
(時間とお金が)倍かかるっていう

平松
すごい!

中谷
それだけ考えても普通、無理なんですけど…。まあ、無理っていうのは大人の事情なだけで、うーん、乗り切れないこともないかなぁ的な感じで、子ども心の2人が(笑)

諏訪
やるからには、今までにないものをやろう、と

――そんな10以上の「大人の事情」をリストとして書き出し、それをひとつひとつ潰していったそうです。

諏訪
難しそうなこともあったんですけど「まあイケるかもね。ダメだったらいつでもやめりゃー良いじゃない?」っていう感じでしたね

中谷
しかも、大人の事情を乗り越えていった後に、初めてシナリオをゼロから作り上げていかなきゃいけないんで、5倍くらいの労力が…。しかも、シナリオがつまらなかったら特番にもならいんで。結果、良かったですけど、普通は危なくて渡らない橋ですよね?

諏訪
うん

吉田
大人の事情リストなんですけど、例えばこんなことが書いてあったって何があります?

諏訪
例えば、(それぞれの原作の)出版社が違うとかは当然あるじゃないですか。実際に音楽が違うとか、キャラデが違うのと同じですよね。その違うものが同じ土俵に乗るかどうかっていうことを、一応シミュレーションするわけですよ。それで『こういう風なお願いをしたら乗ってくれるかもね~』ぐらいのところを見ながらやっていって、それが2009年3月に放送されるまで2年半かかったのかな

吉田
進めていくとまったく違うハードルも出てくると思うんですが、意外なハードルはありました?

諏訪
一番のハードルは時間ですかねー。思っていたよりも時間がかかってしまったんですよ。手間は1.5倍から2倍ぐらいかかりました。

音楽の巨匠2人を動かしたのはファンの方々

――「ルパン」(大野雄二)も「コナン」(大野克夫)も音楽のテイストは違えど、相性がとても良かったので、違和感なく耳に入ってきました。しかし映画なら、テーマ曲をゼロから書いても良かったのでは?

諏訪
『ルパン』のテーマ、『コナン』のテーマというのは、視聴者の耳に染みついているものなので、それを全部なしにしたら、お客さんに対するサービスにはならないだろうと思ったんですね。テーマ曲もあって、なおかつ新しい楽曲も下ろしてもらうというのが、この映画でのひとつの目標だったんです

中谷
たぶんね、歌舞伎みたいなものだと思うんですよ。見得を切る…、『コナン』の曲が出てくるところ、『ルパン』の曲が出てくるところに、彼らのキャラクターたちの見せ場があるわけで、その時に『ヨーッ!』って思わず声をかけたくなる。その力を音楽は持っているので大事にしたかったんです。だけど、映画の音楽っていうのは、アタマからお尻まで、全部逆算して音楽って付けていくんですね。それを違う先生に発注するのは、普通なら考えられない。一発目の時は、『今夜だけ、再放送すらするまい』と思って作ったんですね。だから参加してくれた方々に『皆さんゴメンね、よろしくね』って気持ちでやった部分があるんですね。まさか劇場版にできるなんて思いもしなかったですね

諏訪
一発目のテレビスペシャルはアーカイブっていう、いわゆる有りモノで一応作ってると、だから今回は2人の先生に新しく発注して、書き下ろしてもらっているということが、実際にできたということがひとつの金字塔ですよね

中谷
これは視聴者の皆さんのおかげで、本当に実験的に花火的なカタチで放送したんですけど、お陰様で視聴率も良くて、それが両先生のお耳にも入ったと思うんですよ。それで、発注をさせていただいた時にも、前向きに作っていただいた部分もあると思うんですよ。そういう意味でいうと、TV番組として僕らが作ったものに対して、ネットを含めて反応をいただいて、それが『クリエイターを触発して次のものができる』というその最たるものが、今回は劇場版ですけど『ルパンvsコナン』じゃないかな、とは思っています

長年続ける上で必要な要素とは?

――両作品がコラボレーションするにあたって、『ルパン』側から『コナン』側へアプローチしたっていうのがキーだと言う吉田さん。『コナン』はアニメ放送やマンガ連載も続いており、広い世代でもアクセスできるコンテンツなのに対して、『ルパン』は、吉田さん(37歳)の子どもの頃でもマンガにアクセスすることが難しかったそう。年に一度の放送で生きたコンテンツとしてなりたっている状態。プロデューサーとして、『ルパン』の息をこれからも長らえさせようという意図はあったのでしょうか?

中谷
毎年、ゴールデンタイムの『金曜ロードショー』で20年以上やっているんですが、僕らアニメ界の人間として忸怩(じくじ)たる思いがあるのは、ゴールデンタイムからアニメが撤退しているんですが、僕らが子どもの頃に観てたように、ゴールデンタイムにアニメは絶対必要だと思っているんです。そうした現状の中で、『金曜ロードショー』というゴールデンでやらせてもらっていて、(視聴率)の数字を取っているというのがあるので、長らえてやろうというよりは、逆に言えば『ゴールデンでアニメができるのはウチぐらいだろう』と。『ルパン』は『ルパン』で編成の中でも通すのは大変なんですけど…。ただ、その中でやってきたっていう実績はあるから、国民アニメとしてNo.1、No.2の『コナン』とコラボレーションできるのは『ルパン』じゃないかっていう思いがありましたね

――ゴールデンタイムでのアニメ放送が難しくなった要因として、スポンサーや30分枠、そして作品の多様化等の問題があるようです。

吉田
でも、みんなでメジャーなものを見てるというのは快感のはずなんです。今、大人と子どもが一緒に見られるアニメがほとんどなくなっているんですよね。そこで、このVTRです

――国民アニメのコラボレーションが面白くないわけがない。ということで、番組は、公開初日の舞台挨拶にお邪魔してきました。会場の皆さんに作品の感想を聞いてみると…

男性「ルパン三世も名探偵コナンも今まで結構見てきたんですけど、映画作品で出てくるキャラも多かったので、見応えがありました」
女性「お互いの良さを引き出していたというか、探偵と泥棒の対決なんですけど、力を合わせて事件を解決して良かったのかなと思います」
女性「ライバルなのに仲間っていうところがすごく良かったです」

――ルパン世代じゃなさそうなキッズたちの反応は…?

男の子「キッドに似ている感じがしたんですけど、拳銃を使ったりして大人っぽい感じがしました」
男の子「コナン君はクールさがかっこいいです。ルパンはギャグとクールが合体したみたいな感じです」

諏訪
子どもの意見って面白いですね

平松
私はキッドが最初に出てきたので、怪盗キッドとルパンの違いってなんだろうと考えたんですね。私はキッドはまだ高校生だけど、ルパンはもう一歩先を行っているのかなと思ったんです。ルパンは殺しも最終手段に選べる本物の怪盗なのかなって。怪盗キッドVSルパンも見てみたいなと思いました

吉田
たぶん、見た人は、今、あーと思ったと思うんですけど…(笑)。僕のような気持ち悪いマニアから見ると、今回、ゲストキャラクターで登場している内野(聖陽)さんが『アラン・スミシー』(※3)と名乗った瞬間に、『こういうことをやるんだ!』って思ったんですよ

中谷
アラン・スミシーがわかるなんてスゴイことですよ

吉田
マニアな人間からすると大好きな豆知識じゃないですか(笑)。こういう教養みたいなのを、知らず知らずのうちに『ルパン』で相当学んでいるぞっていうのが多いんですよね。例えば普通の生活をしていたら、日本人は銃器のことなんか何も知らないはずなんですよ。なのに、銃器はバラすことができるし、正しい知識がなければ組み立てることもできないみたいな知識を知っている。たぶん『ルパン』を見ているせいだと思うんですよね。というのがあって、教育感というか、次の世代に何か伝えなきゃいけないみたいな意識っていうのは、脚本とか企画を作る段階であるんですか?

中谷
僕は『ルパン』ってプチ未来を予見しているようなところがあるのかなと思っているんですよ。もちろん、フィクションだけど、フィクションと現実の間みたいな、ギリギリのところをいっているのが『ルパン』。映画の一発目の『複製人間』(※4)で、クローンって出てきたじゃないですか。そこから何十年か経って、実際にクローン牛とかいるじゃないですか。毎年毎年、『ルパン』の新しいシナリオを作っていくんですけど、荒唐無稽であってはいけないんだけど、ファンタジーでなくちゃいけないし、その辺のギリギリ感っていうのを大切にしているのなのかなって思っています

吉田
最新のものをわかりやすく消化して見せてくれるのがアニメなのかなと思います

諏訪
『コナン』も新しいもの好きで、携帯電話もいつの間にか新しいものを持ってるんですよね。新しいものを取り入れていくということが大事です

平松
映画でもコナンくんがスマホを使っていましたよね

【編集注】
※1 「ルパン三世VS名探偵コナン」のこと。2009年3月27日「金曜ロードショー」で放送。監督は「コナン」のTVシリーズの演出や、「ルパン三世 セブンデイズ・ラプソディ」の監督を担当した亀垣一。脚本は「フレッシュプリキュア」などの前川淳が担当している。毛利蘭が蘭と瓜二つのヴェスパニア王国の王女ミラと間違えられ誘拐されてしまう。一方、ルパンたちはヴェスパニア王国に伝わる秘宝「クイーンクラウン」を狙っていた。ルパンとコナンは、それぞれヴェスパニア王国に入国するが…。ルパンとコナンの世界観が見事にミックスされており、本作での毛利小五郎の相棒はなんと銭形警部。
※2 2009年は、日本テレビが55周年、読売テレビが50周年で、共に記念周年だった。
※3 1968年から1999年にかけて使われた架空の映画監督の名前で、諸事情により映画監督の名前を出せないときにやむを得ず使用される。今回のゲストであるアラン・スミシーはジランバ共和国の工作員。偽名の可能性も…?
※4 「ルパン三世 ルパンVS複製人間」のこと。ルパン三世劇場映画第1作で、1978年公開。人間に永遠の命を与えるという「賢者の石」を巡り、ルパンと謎の怪人物マモーとの戦いを描く。マモーはクローン技術を使い、1万年以上生き続けている人物。監督は吉川惣司、脚本は大和屋竺と吉川惣司が担当している。
ミステリーに大事なのは、動機とそれを抱える人物の説得力

――両作品の核の部分は「ミステリーである」という吉田さんから、ひとつの質問が。吉田さんが常々疑問に思っていること。それは「フィクションは何のためにあるのか」。特にミステリーは、古い時代から作られてきた歴史がある。ミステリーには人を惹きつける魅力がある。その普遍的な価値とは何なのでしょうか?

中谷
僕はドラマだと思うんですよね。アガサ・クリスティー(※5)とか見ていても、結局動機とかが、時代は違っていても誰しもが共感できるような、デジタルとは違うアナログチックな部分があるからだと思うんですよ。『ルパン』も『コナン』も新しい機器とか発明するけど、でも最後は人間の努力というかね、頑張る気持ちみたいなところで解決するじゃないですか。誰かが犯罪を犯したりするところにも人間の心が関わってくるから、一緒に謎を解いていく過程の中でドラマを感じられることが、大切にしている部分なのかなって思っていますけどね

吉田
諏訪さんはいかがですか?

諏訪
ドラマですし、あとはキャラクターですよね。人間って、知り合い同士でも見えないところってあるじゃないですか、お互いに。友人でも、家族でも。その家族の本心は? みたいなところを探すのと、ドラマで真実を見つけて探していくのと、何となくリンクしているんですよ。一冊のミステリーを読むのと、初めて会った人と10分くらい会話するのとは同じぐらい楽しいじゃないですか。それと同じぐらい価値があるものを、映画なりテレビなりで皆さんにお届けして、なんか『ひとつ満足して新しいことを知ったな』みたいな感じになる、そんなストーリーをいつも作れると良いなって思いますけどね

吉田
だとすると、『ルパン』も『コナン』も、要素とか手法に関して新しいものは開発しなきゃならないと思うんですが、動機とかキャラクターに関しては、斬新なことというか、普遍的だと感じられないものは基本的にメジャーな場でやるものとしては、向いてないんじゃないですか?

諏訪
要は、動機が一番難しいんですよ、ミステリーで

吉田
そうなんですか!?

諏訪
動機が一番難しい! なぜ人を殺しちゃうみたいな。動機付け、理由付けをして、その事件がなぜ起きたのかっていうところまでを作るのが、一番大変です。ミステリーで

吉田
そうなんですか、これは中谷さんも

中谷
そうでしょうね。それがストーリーの根幹になきゃいけないし、それが起因してどんどん話が回っていかなきゃいけないし。おそらく長尺であればあるほど整合性がないといけないので

諏訪
そうですね。スケール感ってあって、じゃあ動機付けも大きくすれば良いのかっていうと、そうとも限らないし。さじ加減は必要なんですけどね

中谷
犯罪を犯したキャラクターの人間性をきちんと構築しないと、動機だけをふわっと見せても、何ら心に響かない

諏訪
ミステリーを生み出すキャラクターを作ることができたのが、『コナン』にしろ『ルパン』にしろ、愛される理由だと思うんですよね。現実に生きていてもおかしくないキャラクターを作ることが大事ですね

中谷
1人のキャラクターの人生とか人間観のようなものを全部作ってから、ストーリーを描かないと、視聴者は「つまらない」と思ってしまうんです

諏訪
今回のアラン・スミシーは、内野さんに実写なら自分でやりたいとおっしゃっていただいたんですけど、それぐらいしっかりできているキャラクターなんです。まだ見てない方はそこらへんも注目して見ると面白いと思います

【編集注】
※5 イギリスのミステリー作家。1890年生~1976年没。「ミステリーの女王」と呼ばれ、生涯書き続けたエルキュール・ポワロを主人公とする推理小説シリーズは、世界中で愛されている。ちなみに、「コナン」に登場する阿笠博士の名前は、アガサ・クリスティーに由来する。
ミステリ2人のプロデューサーによる、両作品のベストチョイス!

――今回は、それぞれのシリーズにおけるベスト作品を挙げてもらいました! まずは中谷さんが挙げた作品は1997年放送のテレビスペシャル「ルパン三世 ワルサーP38」(※6)。

平松
始めて見たルパン作品が『ワルサーP38』で、お兄ちゃんと一緒に見ました! お兄ちゃんの友達の中では、これが一番おもしろいって言っていました。不二子ちゃんを初めてみて、いけないものを見てしまったという罪悪感が…

中谷
お目が高い。『ルパン』のスペシャルって、毎回ご覧になっている方はご存知かもしれませんが、一番自由なんですよね。監督が違う、キャラクターデザインが違う、脚本家が違う、すべてを受け入れて『あなた色のルパンを作ってください』ってのがルパンなんですよ

吉田
それこそ最新作でいうと、女性監督のすごく若い方が、峰不二子でシリーズ(※7)を作ったりしていますからね

中谷
ある程度の自由度と制約の中で作ってくださいっていうのが『ルパン』なんですよね。それでいうと、この『ワルサ』ーっていうのは、すごくファンタジー感と現実感の間というか、アニメならでは感、『ルパン』ならでは感がすごくあるんですよ。先生がおっしゃっていたんですが、『ルパン三世』は『007』がモチーフになっている部分があるんで、『007』を越えた『ルパン』ならではのマンガ感みたいなところが、うまく共存しているのが『ワルサー』だと僕は思います。そういう意味では、一流のエンターテインメントに『ワルサー』はなりえているかなという部分と、今でも古くないカット割りとか、その時のクリエイターたちのパッションがすごく伝わってくる作品だと思っています

吉田
何歳ぐらいが観ているという想定はあるんですか?

中谷
『ルパン』はね、一億総評論家状態だと思っていて…

吉田
確かに

中谷
なに作っていても、怒られるんですよ。もー、みなさん、怒らないでください(笑)

一同笑

中谷
みんながルパンについて語れちゃうんですよ。あと、新しく入ってくる人がいるんですよ、ゴールデンなんで。今までいろんなテイストのルパン作品がありますが、いまのクリエイターたちが作る『新たなルパン』がルパンなんで、すべてのファンの皆さんに、『今回はこうだぜ』っていうのをちゃんと発信できるパッションがないとダメだと思いながら作っているんですが、毎回怒られます(笑)

――2014年で放映19年目となるコナンのプロデューサー・諏訪さんが挙げた作品は、TVシリーズ第56話「おじゃマンボウ殺人事件」(※8)。

諏訪
『コナン』は原作の連載が20周年を迎えましてすごくおめでたいのですが、今回選んだのはオリジナルの話です

吉田
平松さん、『おじゃマンボウ』って知ってます?

平松
知らないです

諏訪
関東ローカルだったんですよ

吉田
そうだったんですか!?(吉田さんは東京出身)

平松
愛知県出身なので…

諏訪
『おじゃマンボウ』っていうバラエティ番組があって、それのタイアップで出演者も出る、しかも面白さも損なわせてはいけないということで、アイデアをみんなで考えて進めながら、最後のアイデアは私が言ったという、思い出になっている作品です

吉田
実は、コナンというのは全部が原作通りではなくて、3割ぐらいがオリジナルなんですよね

諏訪
そうですね、3~4割ですね。オリジナルストーリーは、青山先生の原作との勝負と言うんですかね、青山先生に対して面白いと思ってもらえるものをアニメで作っていくっていうのを、今でも続けています。それが長く続いている秘訣かなっと思っています

吉田
僕、『コナン』って『民放』っというイメージをすごく受けるんです

諏訪
現在放送中の番組とのコラボは積極的にやっていっていますしね

――ここで視聴者アンケート。本日の札幌のジャックナイフは、珍しく普通のジャージで登場。

ジャック「僕、『コナン』から学んだことがあるんですけど」

吉田
何?

ジャック「恋はスリルショックサスペンス」
吉田
あんなこと言っていますけど、あの人、童貞です

ジャック「余計なこと言わなくていいですよ」

――「ルパン三世」と「名探偵コナン」に登場するアイテムでそれぞれあなたが欲しいものは何?

平松
『ルパン』のほうは、不二子ちゃんのキスが欲しいです

吉田
あれだけ男を惑わす能力があればなんでもできそう?

平松
不二子ちゃんはかっこいいです。なりたいというか、いろいろ教えてもらいたいです。学ぶことがたくさんありそう

平松
『コナン』はターボ付きスケボーが欲しいです。東京は道が入り組んでいて地下鉄も難しいので、これで地上を走れたら便利かなって

吉田
でも、これ、かなり運動神経必要ですよ

――果たして、その結果は?

『コナン』の結果に「自分で責任を取りたくない、変身願望なのかな?」と吉田さん。

――ともにメジャーな人気作品同士のコラボレーションには、人知れない苦労がたくさんあったんですね。まさに「ダメだとは思わずに、一回死んだと思って頑張れば道は開けるんじゃないか」という思いだったという2人。その言葉の重みに、新たなものに挑戦し続けるクリエイターたちの苦労がわかる思いでした。

【編集注】
※6 1997年放送のTVスペシャル。謎の組織「タランチュラ」とルパンファミリーの戦いを描いた作品。ルパンがかつて愛用していたシルバーメタリックの「ワルサーP38」の数奇な運命も描かれる。監督は劇場版「アンパンマン」を数多く手がけている矢野博之、脚本は米村正二。
※7 「LUPIN the Third -峰不二子という女-」のこと。2012年4月‐6月放送。不二子を主人公にした作品で、監督を山本沙代、脚本を岡田麿里と女性が担当している。
※8 「File56 おじゃマンボウ殺人事件」のこと。1997年放送。1993年~2006年まで日本テレビ系列の一部ネット局で土曜日17:00から放送されていたバラエティ番組「TVおじゃマンボウ」のタイアップ。「TVおじゃマンボウ」の中山秀征、麻生久仁子、藤井恒久など、出演者が実名で登場している。

今日の一筆

諏訪さんの行き着くミステリーはラブコメ! 確かに、男女の恋愛に答えはない!?

中谷
いつも番組を作っていますが、出演するのはほとんどやらない上に生放送だったので、ぎりぎり言い過ぎたかもしれません(笑)。とても面白かったです

諏訪
僕はおかげ様でちょいちょいTVに出る機会もあるんですけど、吉田さんの進め方もよく知っていたですが、さすがうまいなと。どんどん奥へ奥へと聞いていく。このような番組が今のアニメーションを支えているとうところもあるので、とても良いものに出させていただいたなと思います

平松
今回、この番組出るよってTwitterでつぶやいたら、友達や家族からすごく反響があって、いろいろ聞いてきて欲しいことが送られてきたんですね。私の親の世代や同級生の世代にもすごく愛されてる作品だなと感じました。すごく緊張したんですが、よっぴーさんの質問がすごく鋭いところに行くなと思って、すごく勉強になりました

実は、この番組のために一生懸命質問を考えてきてくれた平松さん。平松さんの疑問にプロデューサーお二人が直接お答えしてくれました。

Q1『コナン』の阿笠博士のダジャレクイズは誰が考えているの?

諏訪
私が考えています。シナリオライターさんのほうが面白いこともあってそちらが採用されてしまうこともあるんですが…。今回の映画のダジャレクイズはシナリオライターの前川(淳)さんです。自分で言い出した企画なので、責任を取るといいますか、毎回シナリオ会議で『どうでしょうか』とお伺いを立てることをやっています

Q2不二子ちゃんの声が代わりました。とても若々しくなったと思うのですが…?

中谷
実際、すごく若返りました。沢城みゆきさんは28歳ですからね。セクシー+艶が出たんじゃないでしょうか。不二子ちゃんは今まで二階堂有希子さん、増山江威子さんと代替わりをしてきていて、沢城さんは2人の演技を研究されて、そこに自分の良さをミックスしていると思います。沢城さんは天才で努力家だと思います

「ルパン」と「コナン」って老舗中の老舗。中谷さんと諏訪さんは例えるならば、老舗の大番頭さんだと思うんです。大番頭はすごいヤバイことを考えていても、ヤバく見せないのがうまいなと思いました。オープンじゃないところで話が面白いのは当たり前なんですけど、今日はオープンなところでいろいろ話してくれたなと思いました。一番面白かったのは、中谷さんの「放送局の人間なのに『あいつはスーツ職場とか無理だから』と思わせる」という話で、妙に納得してしまいましたね。あとは、いろんなものを清濁併せ呑んで合わせることっていいことだと思ったし、その企画を出す方も大変ですが、それを受け取って消化するほうもえらいなと思いました。『ルパン』も『コナン』もそういうことをやり続けているから両方とも生き残っているんじゃないかな。これ(「ルパンVSコナン」)は、やればやるほど上がっていく可能性がある番組かもしれませんね。ミステリーは普遍ですから。

-放送まとめ

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