吉田がキャラホビで企んでる

”今、自分がいちばん見たい番組みてキャラホビを目指す”というコンセプトのもとに吉田が話題のアニメに物申す!

放送まとめ

吉田がキャラホビで企んでる第31回「【公開収録】サカサマ世界に行ってきた!」

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11月9日に公開されると、映画満足度ランキング(「ぴあ」調べ)で1位に輝いたほか、アジア太平洋映画賞へのノミネートや北米での公開決定など、今一番注目を集める映画『サカサマのパテマ』。今回の『よキャラ』は吉浦康裕監督、藤井ゆきよさん、岡本信彦さんをゲストに、パテマ上映後の映画館で公開収録を行いました。

ゲストProfile
吉浦康裕(よしうらやすひろ)。アニメ監督。学生のころより自主制作でアニメを作りはじめ、『イヴの時間(※1)』でメジャーデビュー。いきなり劇場版の監督となる。東京国際アニメフェアOVA部門優秀作品賞など、数々のアニメ賞を受賞している。最新作、「サカサマのパテマ」が2013年11月9日(土)から全国劇場公開中。
藤井ゆきよ(ふじいゆきよ)。声優。映画『サカサマのパテマ』のヒロイン・パテマを演じる。元照明スタッフ、ミス・インターナショナルファイナリスト、モデルなど異色の経歴を持つ。
岡本信彦(おかもとのぶひこ)。声優。映画『サカサマのパテマ』の主人公エイジを演じる。代表的なキャラクターに『とある〜』シリーズの一方通行〈アクセラレータ〉、『バクマン。』の新妻エイジなど。

「サカサマ人間おもしろそう」これが全ての始まり

吉田
「角川シネマ新宿で僕達は今日『サカサマのパテマ』の伝説の始まりの目撃者になるかもしれません。本日の『吉田がキャラホビで企んでる』は、『サカサマのパテマ』の吉浦監督と、キャストの藤井ゆきよさん、岡本信彦さんをお招きして2回目の公開収録を行いたいと思います」

――吉田さんの言葉とともに番組が始まり、吉田さんとゲストの三名が舞台上に並びました。

吉田
「先ほどみなさんが見た『サカサマのパテマ』はこの吉浦監督が作られたのですが、こうやってパテマTシャツで舞台に上がってきてもらうと、なんだかカンヌの舞台に大学生が上がってきちゃったみたいな…」

パテマTシャツが似合いすぎて、吉田さんに「大学生」呼ばわりされてしまった吉浦監督

「そうですね、この上に黒いパーカーを着れば完全にスタッフさんに見えると思います」

吉田
「岡本さんは、タイのお坊さんかっていうくらいに手を合わせながら舞台まで来てくださいましたね」

岡本「日本人ですから、挨拶を大切に色んな人に挨拶をしてみました(笑)」[/speech_bubble]
吉田
「パテマのイメージから小柄な女性を想像していたら、藤井さんはモデルさんみたいなスラッとした長身で…」

藤井「でかいです」
吉田
「でかい…ですね(笑)そしていう言葉は意外とストレートなんですね。こういう人達のほうが公開イベントには向いていると思います」

藤井「ほんとですか?やらかさないように気を付けます」
一同笑

――なごやかに出演者の紹介(?)が終わったところで、舞台にセッティングされたトークスペースへ。本日の4つのVTRのうち、まずは『パテマ』の見どころを分かりやすくまとめた「サカサマがいいね!」からスタート!
『パテマ』が公開されてから、長時間人前で話すのは初めての吉浦監督は「裁判に立たされた被告気分です」。

吉田
「では、ここから被告の罪状を申し述べたいと思います(笑)。大ヒットした前作の『イヴの時間』の時に監督がおっしゃってたのが「アニメで描かないとロボットっていうのはロボットを人間が上手く演じているように見えちゃう」とか「逆にもしロボットで作ったとしても、よくできたロボットだなとかっていう風に、人間は実写作品を見てしまう」と

「(人間ソックリの)ロボットが本物のロボットになるのはアニメの中だけだっていう話はしましたよね

吉田
「その話を聞いて、なんて本質的なんだろうと思って、次回作がとっても楽しみだったところに『サカサマのパテマ』だったんですね。上下が逆転した世界って、実写で映画化してしまうとやっぱり「これって実際の地面はどっちだったんだろう」って思っちゃうんです。でも、アニメだと上も下も本当なんだって思えるんですよ。監督はやっぱりすごいところに目を付けて、いつも作品を作ってるんだなと思ったんですけど…

「いや、ほんとうにあんまり本質とかテーマとかそういうのには切り込まないんです。「あ、サカサマ人間おもしろそう」これが全てですね。ロボットいいよねとか、サカサマ人間怖そうだねとか、高いとこ怖いよね、観覧車乗りたくないよねとか、そんな感覚からスタートしますね」

吉田
「マジっすか…。じゃあもし監督が「女の子が戦車乗ってるのいいよね」って思ったら『ガールズ&パンツァー(※2)』みたいなアニメが出来てたかもしれない(笑)」

「でも意外とそんなもんだと思いますよ。これよく言ってるんですけど、真面目にエンターテイメント作っていくうちに勝手にテーマとかメッセージっぽいものって、勝手に込められちゃうんですよね」

吉田
「エンターテイメントしようっていうのが、まず最初にあったと」

「もちろんです。それが最初です。実は重力がサカサマになるというアイディア自体は実はそんなに珍しくはなくて、ゲームでは割とよくあるギミックなんですね。それをちょっと変えて「サカサマで生きることを宿命づけられたサカサマ人間」ってしたほうが、実はお話的にはおいしいって気付いたんですよ。自在に重力が変わるとかじゃなくて。そのほうが物語的には作りやすいなと思って」

吉田
「てことは「物語というものはこうだったほうがいい」っていう感覚みたいなものが監督にあるからそういうジャッジが出来るわけですね」

「縛りがあるってことですね。自由になればなるほど何でもできちゃうので、なにか縛りとかルールとかでやっちゃいけないことをガチッと決めちゃったほうが、絶対におもしろくなると僕は思ってます」

【編集注】
※1 2008年8月からインターネット上で公開されたアニメシリーズ。原作・脚本・監督・演出、吉浦康裕。日本はもちろん全世界で人気を集め、2010年3月には全6話を編集した完全版として、映画が公開された。近未来の日本と思われる時代設定で「人間とアンドロイドを区別しない」という変わった喫茶店を舞台に繰り広げられるワンシチュエーションドラマ。
※2 2012年10月から12月までと、2013年3月に放送されたテレビアニメ。通称『ガルパン』。書道や茶道とならんで、戦車を使った「戦車道」という架空の武道に青春をかける少女達の物語。作中で舞台となった茨城県大洗町では、イベントとのタイアップ・メディア向けの記者会見などが行われて、地域活性化にも一役買った。

パテマは難産

――次に見るのは「極秘資料入手」というタイトルのVTR。中野ブロードウェイで開催されていた『サカサマのパテマ展』の様子を伝える映像の後には、なんとそこでも公開されていなかった『サカサマのパテマ』企画書の内容が!

吉田
「これが『アイガの世界(仮)』というタイトルだったときのパテマの企画書になります!」

岡本「僕ら初めて見ますよね」
藤井「そうですね、初めてです」
「僕もこれを読むのは久しぶりです」

吉田
「これ、どんな状況で書いてたか覚えていますか?」

「これは国分寺にある某スタジオで書いてて、後ろにいた前田真宏監督(※3)に「どんなの作ってるの?」って覗かれたりして。でも画力のすごい人だから恥ずかしくてなかなか見せられなかったんですけど」

吉田
「へー、でもアイディアとして思いついたきっかけっていうのはなかったんですか?」

「いや、「サカサマ」のアイディアは昔からストックとして持っていて、それを書いたのがこの企画書なんです。子供の頃に「全人類突然サカサマ化」っていうお話を考えていたんですけど、それやるとどう考えても地球規模のディザスタームービーにしかならないじゃないですか。それはさすがに大変かなと思ったときに「ヒロイン1人だけサカサマのほうがいいんじゃなかろうか」と思ってこれを書いたんですよね」

吉田
「あ、じゃあアイディアにも何段階かあるんですね。「サカサマおもしろそう」→「全人類がサカサマになったらおもしろいんじゃないか」→「ただ1人サカサマがいいんじゃないか」という」

「そういうところから、このイメージを描いて「あ、これはボーイミーツガールだ」と。そういう順番ですね。これってアイディアものでしたから、世界観は全く固まってないまま、見切り発車で描いたんですよね。キャラも固まってないし、この後どうなるかも一切分からなかった。とりあえず絵だけ描いた。厳密に言うと、絵から発想したというより、コンセプトから入ったという感じなんですけど「サカサマのヒロインっておもしろくないですか?」って説明するためにこの絵を描いたんです」

――と、上下を反転させた二枚の絵を見せてくれる吉浦監督。確かに、全く同じ絵なのに上下が逆だと全く違った印象を受けます。その二枚を見せて、こういうスイッチングを楽しむアニメにしたいんだ、ということを最初に説明したそうです。

確かに上下を反転させると柄の印象が全く違います!

「地上人は和風の世界だったんです。戦後の昭和みたいなイメージで、ある意味レトロフューチャーみたいな感じでしたね」

吉田
「パテマに関しても、キャラクターが少しずつ出来上がっていった様子が分かりますね」

「パテマはすごい難産でしたね」

吉田
「へー、とてもストレートなヒロインという部分が強いかなと思っていたんですが」

「あー、でも性格付けも変わってますし。だってそこに文字見えますか?「心閉ざしがち、やや卑屈」って書いてあるんです」

一同「えーーーー!!!??」

パテマの原型のキャラクター。現在のパテマと全然違います。

「なんで卑屈だったんでしょうね」

吉田
「え!?それ自分でも分かんないんですか?」

「最初は卑屈な女の子と元気な男の子っていう組み合わせだったんですよ」

吉田
「むしろ全然逆な感じですね。でも、その時のこと自分でも覚えていないんですか?」

「なんだったかなー…。『イヴの時間』とかぶるから逆にしよっかな、ぐらいですかね」

一同笑
吉田
「なるほど!理由は漠然としてていいんですね!(笑)」

「でもやってるうちに、僕の願望なんですかね、女の子がひっぱってほしい……みたいな。あ、いや、ちょっとダメなこと言いましたね(笑)」

――次に見るエイジの原型となるキャラクターは、現在のエイジとは全く違うやんちゃそうな男子。服装は戦時中の学生服に似ていて、シャツの中には赤いTシャツを着ています。この赤Tシャツは彼なりの反骨心の表れなのだとか。

「最初はこの世界ではみんな帽子をかぶっていて、脱いだらダメっていう設定だったんですよ。ツバがあるから空が見れない…ということで」

一同「あーーーー!(感心)」
吉田
「それは今でもあってもおかしくないかなって気がするんですけど」

「帽子ってちょっと格好付かないなと思って。絵的な都合ですね。やっぱ世界観がディストピア(※4)の管理社会みたいな、手塚治虫さんが『火の鳥』で描くような未来世界にしようと思ったので、帽子ってやっぱり似合わないんですよね。それでやめたんです」

吉田
「今の「反骨神の現れ」みたいなところでいうと、アウトサイダーな部分っていうのはエイジにも残っていますよね」

「アウトサイダーをポジティブに捉えているキャラか、ネガティブに捉えているキャラかというところでちょっと変わったんですよね」

岡本「そうなると全然見え方が違ってきますよね。お芝居の仕方もだいぶん変わってくるだろうな…。目も「まっすぐ」って書いてあったじゃないですか。それだけで芯の強さや、声の入り具合やぶつけ方も全然違うんじゃないかなって思いましたね、今」
吉田
「そういうところでいうと、岡本さんって直接会うとすごくストレートな好青年を絵に描いたような方なんですけど、やってる役が悪い奴多いんですよね」

「それで起用させてもらったところもありますね」

岡本「結構人殺しの役ばっかりやってるんですけど大丈夫ですか?」
一同笑
「声の初見の印象を聞いた後に、他にやられてる役を聞きまくったんですよ。そしたら色んな役やられてるじゃないですか。それ見て「あ、幅広い方だな」と思って。あと、いつもキャラクターのアイデンティティに近い部分を持っている方を選んでいるので、なんか素の中学生みたいな初々しさがあったというのも…」

一同笑&拍手
岡本「正しい!僕はほんとに中二病だと思います(笑)声優になれてよかったと思うのは、必殺技を叫べるっていう…この一点ですね。最高です」[/speech_bubble]
吉田
「この作品の場合でも、必殺技は叫べないけど、空から女の子は落ちてくるわけですからね」
岡本「抱きしめられるんですよ、犯罪じゃない!」
一同笑
[speech_bubble type="std" subtype="L1" icon="m1.jpg" name=""]「これって絵コンテムービーの段階でアフレコさせていただいて、その声を聞きながら作画スタッフが作業してたんですよ。だから結構声の影響っていうのはあると思います。だから土師(孝也)さんの声で、イザムラ(※5)の顔芸(※6)になってるんです」

吉田
「こんなに悪いはずじゃなかったのに…途中で楽しくなって来ちゃったんですね」

こんなに悪くなるはずじゃなかった?イザムラさんの顔芸

【編集注】
※3 アニメーター、アニメーション監督、漫画家。大学在学時に所属していた漫画研究会で貞本義行と出会い、アニメの道へ。『ナウシカ』や『オネアミスの翼』などで原画を担当する。1992年にはゴンゾを設立。代表的な監督作に『青の6号』『巌窟王』『エヴァンゲリオン新劇場版:Q』など。
※4 SFなどで描かれることの多い、ユートピア(理想郷)と正反対の性質をもつ社会。一見秩序立てられてはいるが、徹底的な管理・統制などが存在し、自由や人権が制限されている……などの特徴を持つ。ディストピアが描かれた代表的な作品に『タイム・マシン』(H・G・ウェルズ)、『家畜人ヤプー』(沼正三)、『時計じかけのオレンジ』(アントニー・バージェス)など。
※5 『サカサマのパテマ』に登場するキャラクター。アイガ国の絶対的な独裁者として描かれている。特徴は「とにかく悪そう」。
※6 もともとは、顔面や表情を使って笑いをとるお笑い芸。それが転じて、漫画・アニメのジャンルにおいては、強い感情表現のために極端にデフォルメ・変形された表情を指す。『遊☆戯☆王』における闇マリク、『とある魔術の禁書目録』のアクセラレーターなどが顔芸キャラの代表格とされている。

空に落ちる」体験はバンジージャンプで?

――次のVTRは、サカサマの少女パテマの気持ちを体感してみよう!ということで、ビルの屋上から撮影した実写映像をサカサマにして、「空に落ちる」という感覚を疑似的に再現。藤井さんはパテマを演じる前に「空に落ちて」みたことはあったのでしょうか?

吉田
「VTRを見ていただいて「空に落ちる」という感覚って今までに味わったことがないものだったなと、実写で見ると分かるかと。でも人が映っちゃうと途端に重力に対する髪の動きとかが不自然なことになっちゃうので、全然実感として見えないなとやってみて分かったんですけど。テレビを逆さまにしてみてもそうはならないなと思ったんですけど。藤井さんは役者さんである以上、ある程度自分の経験とかをアレンジしたりして、声にするわけじゃないですか」

藤井「あのー…実は私、空に落ちてないです…」
吉田
「うん!だよねー!(笑)

実はまだ空に落ちてないんです…とはにかむ藤井さん

一同笑
藤井「想像するしかなかったので、おうちで逆さになってみたり、逆立ちして「天井を歩くってこんな感じかなぁ」って足をバタバタさせたりしたんですけど、全然わからなくて。ずっと空を見ながら、ここに落ちちゃったらどうなるんだろうと考えてました。アフレコの時は絵に助けられながら演じたんですけど、この前岡本さんが空に一歩踏み出す感覚はバンジージャンプに似てるって言ってて…」
岡本「すげー怖いんです、バンジー。何もない空間に身を乗り出すことって普通無理なんですよね」
藤井「人生で一度くらい飛んでおけばよかったって思いました」

吉田
「じゃあ監督と行けばいいんじゃないですか?」

藤井「2があるなら…」
一同笑
「バンジーってあの…生存本能に逆らう行為ですからね。真面目なこと言うと。絶対やりたくないっす」

藤井「でも、舞台挨拶回りの時に乗った、プロペラ機から下を見ると、エイジが空を飛んだ時の気持ちは少し分かりましたよ!」
吉田
「その飛んでる時の感覚の気持ちよさと、逆に落ちるのは絶対いやですというお話から察するに、監督もバンジージャンプとか…」

「してないですね。あと、本当に怖い時って息を飲むから、見せる時の画面構成だったり、風の音だったり、そういうもので怖さを出せればいいかなって思ってたんですが、お二人の叫びの演技に結構グッときたっていうのも事実なんですよ。それは後で、良かったと思ったところですね」

「必殺技も叫びたかった…」岡本さん

14歳の夢を叶えてくれる映画

――雑誌でさらっと格好良く「役になりきって演じた」とインタビューに答えていたことをVTRでバラされた岡本さん。映画の冒頭部分で、「死んだ魚のような眼をしていたエイジをどんな風に演じていたか、皆の注目が集まります!

吉田
「でもやっぱりマイク前に立つ時は、キャラクターと同じ表情になることって結構ありますよね?」

岡本「あります!」
「僕の場合は絵を描いている時ですけど、ありますね」

岡本「そうですよね。キャラクターが叫んでいたら、自分の眼も血走っていたり、キャラクターがかっこいい表情をしていたら自分もかっこいい表情してるんです。なんなら今思い返すと、エイジが何十年か後にあのときのことを思い出して「あの頃輝いてたな、俺」とか思ってる可能性もあって、そう思うと輝いてたと思うんですよね。ということはマイク前で僕は輝いていたはずです」
吉田
「色んな逆算が…」

「理詰めですね」

岡本「感情を押し殺すというディレクションを頂いていて、さらにこのシーン自体はエイジ自体もどっちかっていうと、あまり前に出れないシーンだったんで「(ぼそりと)はい…そうすか……」みたいな感じですね」
吉田
「すごい!ステージ上でこれやってる人見ると、本当に被告ですね」

一同笑
岡本「だから最近のマイクって、しっかり音を拾ってくれるからいいなと思いますね。20年前のは拾ってくれなかったっていうお話を先輩方から聞くと、演技の幅がマイクのおかげで広がってる部分もあるんだなぁって思いますね」
吉田
「死んだ魚の眼をしていたエイジが成長していくという、ものすごく分かりやすいボーイミーツガールの物語でもあるわけじゃないですか。そこがシンプルなのは一番始めの「サカサマっておもしろいんじゃないか」というアイディアを引き立たせるためなんですよね?」

「アニメ評論家の氷川さん(※7)が「内容が複雑な場合は表現をシンプルに、表現が複雑な場合は内容をシンプルに」ということをおっしゃってて「両方複雑にしちゃダメだ」って。それを言うなら、「サカサマ」が少しトリッキーなので、それ以外はシンプルにしようと、そういう作り方だったんですね。だから演技に関してもストレートに」

岡本「思春期ならではの気持ちとかを…14歳っていう設定も素晴らしいなと思うんですけど、14歳って中学二年生で黒歴史の象徴とも言われているこのご時世ですよ。ていうことは、この現実世界でも14歳っていうのはストレートに出せる年代なんだろうなと思いながらやってましたね」
吉田
「その14歳の時の気持ちを叶えてくれるのが、良いアニメだって思ってるんですけど。14歳の時って女の子に抱きつきたいけど抱きつけないっていうのはあるじゃないですか。この作品の場合は抱きつく理由が超必然的!」

一同笑&拍手
ここで番組終了10分前を知らせる鐘の音が!
吉浦監督には視聴者プレゼント用の色紙にエイジのイラストを描いていただくことに。「公の場でエイジを描くのは初めて…」という監督は後ろに貼られたポスターを見本にエイジを描き始めましたが、ポスターのエイジは上下がサカサマ。監督自身がサカサマになって苦戦しているうちに番組は終了。

【編集注】
※7 フリーライター、編集者、アニメーション研究家の氷川竜介。1970年代末から、ファン出身のアニメ系ライターとして活動を開始。一度は会社員として就職し、アニメ関係の仕事から遠ざかるが、作家・岡田斗司夫の講座で講演を行ったのをきっかけに活動を活性化。富野由悠季、出崎統、金田伊功研究の第一人者的存在として有名。

岡本「パテマの見どころは「映像美」。この作品のビジュアルで空ってすごく大事な要素だと思うんですけど、それが本当に綺麗なんですよね。空を飛ぶシーンの背景、星空、きらびやかで色んな色をしていて……そういった映像がとても好きですね。でも映画本編のストーリーを知ると、この美しい空に隠された秘密なんていうのも見えてくるので、何度でも見て、考察を深めたりしても楽しんで頂けると思います。もっと細やかに、各キャラクター達の感情の流れにも注目してほしいですね。最初はどうしてもパテマやエイジ達の視点から見てしまうと思うんですが、逆にイザムラ視点で見てみてもおもしろいんじゃないかな(笑)」
藤井「この作品はエイジとパテマの心の成長を描いていて、話が進むにつれて、二人の心の距離が近くなっていくんです。それに伴って、エイジとパテマがお互いをギュッと抱きしめるようにして支え合うようになるところがすごくキュンとします!1回目は純粋にストーリーと世界観を楽しんでくださいね。でも2回目以降は見る視点が変わるのできっとまた違った感想になると思いますよ!何度も楽しんでくださいね。あと、『イヴの時間』のテックス(※8)がどこかにいるので、『イヴの時間』ファンの方は、どこにいるか探してみてください!」

「視点がパテマからエイジに、エイジからパテマに変わることで上下がスイッチングして、同じ場所がすごく恐ろしい場所にもなってしまう…この変化を楽しむのが、この映画の醍醐味ですね。1回目はそういったギミックやどんでん返しのせいか、すごく複雑なお話に見えるんですけど、2回目見てもらうと、いかにシンプルな話かが分かるんです。これって2回目に気付く人がすごく多くて、どのくらいの信憑性があるかというと、普段映画もアニメも見ない実家の両親もそう言ってたくらいです。これは詐欺でも誇張でもなく、2回目見てもらえるとスッと物語が入って来やすくなりますね。なので、気になっている方は騙されたと思って2回見るといいかもしれないですよ?(笑)」

編集部注
※8 『イヴの時間』に登場する旧型のTHXタイプのハウスロイド。「THXタイプ」という名称は、ジョージ・ルーカスの処女作『THX 1138』に由来する。
僕みたいに、馬鹿みたいにアニメを見てる人に言わせると、この作品は「どうして私たちはアニメを見るんだろう」ということの本質にまで踏み込んでいます。サカサマの世界は絵で描かないと意味がない部分があるんですよ。それに加えて、王道の「ボーイミーツガール」をもう一度ちゃんと味わわせてくれる作品でもあります。これは副産物だと思うんですけど、すごく贅沢な副産物ですね。ずっとこの番組をやってきて確信に至ったのは「おもしろい作品は絶対におもしろい人が作っている!」ということです。その人がどうおもしろいのかは、それぞれなんですが、吉浦さんがおもしろいことは番組を見てもらえればわかります(笑)そして、同時にこんなにおもしろい人だから、おもしろい作品ができるんだなぁとも思いました。

-放送まとめ

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