吉田がキャラホビで企んでる

”今、自分がいちばん見たい番組みてキャラホビを目指す”というコンセプトのもとに吉田が話題のアニメに物申す!

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吉田がキャラホビで企んでる第33回「まさにデカルチャー!!」

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「アニメをテコにいろんなコンテンツを作っていくことが当たり前になった」と語る吉田さん。クリエイターさんたちをお呼びしてアニメを語るという一次コンテンツにあふれた番組ですが、37歳のおっちゃんがアニメを語るだけではつまらないということで、今週も“みなさんのご鑑賞に耐えうるアニヲタさん”をお呼びしました。

吉田
今週のアニヲタは、9nineの佐武宇綺ちゃんです

佐武
よっぴーさん、お会いしたかったんです!

吉田
今までにも何度もお会いしたことがあったのに、アニメの話ってあまりしたことなかったよね

佐武
アニメ見て育ちましたね。『撲殺天使ドクロちゃん』(※1)が好きだったんですよ

吉田
濃い!!

佐武
ドクロちゃんのパンツが見えるシーンとかドキッとしましたね

吉田
来年1月からアニメ出るんだよね? 僕、アニメオタクであると同時にアイドル好きでもあるんだけど、数いるアイドルの中でダントツに声がかわいいんですよ。だからアニメやればいいのになと思っていたんだけど

佐武
ありがとうございます。『スペース☆ダンディー』にレギュラー出演します。ロボットで

吉田
美少女じゃないのかよ!!

佐武
ポンコツ系のお掃除ロボットです

――本日のゲストは『マクロスフロンティア』総監督の河森正治さん。「神様に会えるなんて感動です!!」という佐武さん。それを聞き「じゃあ今日はこのスタジオは神社ですから。僕が呼んだら神が来ますからね。参拝しましょう」と吉田さん。本日のよアニはどうなっちゃうの!

ゲストProfile
河森正治(かわもりしょうじ)。アニメ監督、ビジョンクリエーター。学生時代よりSFアーティスト集団「スタジオぬえ」でデザインのアルバイトをしており、1978年に正式に入社。1982年の『超時空要塞マクロス』で、可変戦闘機バルキリーのデザインを手掛ける。1984年『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』で石黒昇氏とともに監督を務める。代表作は『マクロス』シリーズ、『創聖のアクエリオン』など。アニメ界の神様の一人。

佐武宇綺(さたけうき)。パフォーマンスガールズユニット9nineのメンバー。声優に憧れ、2013年に『ちはやぶる』『HUNTER×HUNTER』のアフレコ現場を見学。その努力が認められ、2014年『スペース☆ダンディ』でレギュラー出演が決定した。吉田さん曰く、かなり濃いオタク。

神様、降臨!

河森
よろしくお願いします

佐武
神様-!!(土下座)

吉田
そんな作法しなくても大丈夫だよ(笑)。マクロスってアイドルがとても重要ですけど、アイドルがマクロスを見ているってどう思われますか?

河森
すごくうれしいですし、びっくりする心境ですよね。30年前にはそんなことはありえなかったですから。アイドルに普通の人が近くにいけるなんてめったに無かったですもん。握手会なんてなかったですね

佐武
私、9nineの活動をしながらすっごい見ていましたよ。自分の活動にリンクするところもあったり、こういう歌姫の力が自分たちにも出せていたらいいなと思いながら拝ませて頂いていました(さらに土下座)

吉田
高嶺の花だったはずのアイドルが両手をついています

河森
時代の変化ってすごいですね。デカルチャーですね、これも

吉田
でも現実のアイドルでも知り合いにパイロットとかいないでしょ?

佐武
そうですね、残念ながら。でも家にフィギュアがいっぱいありますよ。「一番くじ」で引いたのとか

河森
フィギュアは監修をしていて、ディティールや色をどうするかとか話し合っていたりするんですよ

佐武
ファッションもすごく勉強になるんですよね。ランカちゃんのひらひら感とか、かわいいの極みじゃないですか。アイドルに大事なクールさとかはシェリル様から。すべて勉強になっています

河森
これは作り方をちゃんと考えないといけないですね。これからのアイドル像はこうだみたいなのを。アニメを好きなアイドルもOKだというところとか

吉田
最近は一大勢力としてアニメファンがいるんですよ

河森
そうなんですよね。僕らも「AKB0048」(※2)を作ったときに感じたんですが、声の募集をかけると、声優になりたいメンバーがいっぱいいて、驚きました

吉田
ここまでのところで、河森さんがいろいろな人の心を掴むクリエイターだということはわかったと思うのですが、さらにVTRで紹介したいと思います

――VTRではビジョンクリエーター河森正治さんの経歴を紹介。数々の名作を生み出している河森さん。その異名もたくさんあり、その一つが「変形の河森」。アイデア満載でかっこいい河森メカは、アニメ界に新風を吹き込みました。河森さんは変形・合体を一大エンターテイメントに昇華させました。男の子が好きな要素満載の河森メカ。もしかして、河森さんの中身は「永遠の男の子」なんでしょうか?

吉田
変形ってすごく魅力的ですよね。一番初めにマクロスを作られたときって、河森さんすごくお若いんですよね

河森
企画を作ったときは20歳でしたね。まだ学生だったので、学校に通いながら作っていました。同級生に、キャラクターデザインの美樹本(晴彦)くんがいたんですよ

――ここで緊急事態発生。飲み物を配るランカちゃん(札幌のジャックナイフ)が…

佐武
え! え!? ランカちゃんが変!

吉田
すみません、番組で呼びつけている20歳の大学生です。河森さんがマクロスを作ったのと同じ年で、彼はこの格好で番組に出ているという

佐武
ダメダメ、すね毛が生えているとか!

ジャック「今日は僕からファッションを学んでいってください[/speech_bubble]
佐武
キャーーーッ!!!\(◎△◎)/

――そしてジャックに腰を折られた話を元に戻し…

吉田
学生の立場でアニメを作ることになった理由は?

河森
そのころはまだ機械工学を学んでロケットを作る夢を持っていたんですが、本当に数学ができなくて。そのころ同時にアニメの仕事を始めていたんですが、フィクションならロケットを飛ばせるなと思いまして

吉田
本物のロケットって意外とかっこよくないんですよね

河森
そうですね。エンジンとかのパーツは構造がカッコイイんですけど全体の外観は自由度が少ないというか

吉田
一番効率がいいのはわかるけど、単なる筒だったりしますし。アニメのロボットは見た瞬間に『かっこいい!』ってなるんですよね

河森
そこがフィクションの世界にのめり込んでいった理由でもありますね。現実だと何十年も開発にかかるようなものが、アニメなら2、3年でどうにかなるというのもありますし

佐武
『サヨナラノツバサ』の最後のシーンは、歌とそれぞれの動きがマッチしていて、いつも泣いちゃうんですよ。ロボットとか戦闘とかはやっぱり男の子が好きな分野じゃないですか。私はキャラクターから入ったんですが、最後のほうはメカと戦闘が欠かせなくなっちゃたんです

河森
それは狙い通りです

吉田
アイドルを入り口にして、女の子にもロボットの楽しさを伝えるという

河森
元々は飛行機なので、F1マシンとかに近いんです。最近では戦車や艦船も人気が出てきました(※3)けど、飛行機や車は女の子が入りやすいんですよ

吉田
飛行機なら現実にこんなメカがあってもおかしくない?

河森
ロボットが飛行機になるんじゃなくて、飛行機がロボットになるんです

吉田
飛行機がロボットになるのがかっこいいというのは、小学生でも思いつくんですが、だいたいどこかに無理が出てきてしまうものですが、それを創造できるというのはすごいと思うんです

河森
機械工学を学んでいたというのもあるんですが、小さいころからブロックを使って遊んでいましたしね。小学校2年生のころにはオリジナルの変形メカを作っていました

佐武
えー!! すごーい

河森
そのとき考えたギミックは『アクエリオン』でも使っていますよ。そのころから進歩してないかもしれないですけど

――実は今回、河森さんに「VF-25」の試作品を持ってきてもらっているのです!

河森
これは『マクロスフロンティア』の機体を作るときに試作品として作ったものですね

吉田
ブロックで!?

河森
前はペーパーモデルで作っていたんですけど、ペーパーモデルだと直すのが大変で、昔はブロックで遊んでいたからブロックのほうが早いなと思いまして。これは完成形ですけど、作っているときは、右と左で違う機構で作って、良い方に合わせて直していくんです

――そして変形させて見せる河森さん

吉田
ええー!! なにこれ!!

佐武
これ、ブロックですよね…?

吉田
これは、お店で手に入るパーツでできているんですよね?

河森
そうですね

佐武
これは脳がおかしいとしか…

河森
いえ、慣れだと思いますよ。ここから絵に起こして、機体を作るんです。絵筆の代わりですね。ここで試行錯誤をしながら完成形を見つけていきます

吉田
仏師の方が、木を掘っていくと中から仏様が現れると言いますけど

河森
それに近いですね

佐武
やっぱり神でした!

【編集注】
※1 同名のライトノベルが原作のアニメ。普通の中学2年生の草壁桜と、彼を思うばかりに撲殺してしまう天使・ドクロちゃんの恋愛模様を描いた作品。ドクロちゃんのパンチラはよく描かれている。
※2 芸能活動が非合法化された近未来を舞台に、「AKB48」の名前を継承し、歌を届ける女の子たち「AKB0048」の活躍を描いたアニメ作品。2012年に第1期がスタートし、メインキャラクターの声優はAKB48クループの中から選抜された。
※3 「ガールズ&パンツァー」や「艦隊これくしょん」のこと。河森さんは新しいもの好きで情報収集は欠かさないとのこと。

河森作品におけるアイドルとは

吉田
僕からすると、これだけロボットが作れたらそれで満足できそうなんですけど、河森さんはそれでは満足できなかったわけですよね

河森
そうですね。『マクロス 愛おぼえていますか』の制作時は大学3年生だったんですけど、映画を作るのってすごく難しかったんですね。で、デザインはなんとかできるから、もっと難しいことをやりたくなっちゃったんです。それで物語を作ったり、監督したりするほうも楽しくなっちゃった

吉田
人生ってEASYモードでクリアできるからってVERYHARDモードにする必要はないと思うんですけど

河森
一回できてしまうと、後はバリエーションなのでどうにかなっちゃうんですよ

佐武
どうしよう、あたしの脳にはないことを言っています

吉田
つらいことがあったときに楽しいと思うことですよ

佐武
わかりました

河森
特に映画は本当に難しいと思って、またそれができたらいいなと思ったんです

吉田
『マクロス』は映画のあとも作られていって、『フロンティア』でまた爆発するわけですけど、メカと三角関係とアイドルが必須になっていますよね

河森
毎回1つずつ減らしていきたいんですが、どうしても製作委員会側から言われるんですよね。一つ要素を外したら全然違う物語ができるのにと思うこともあります

吉田
最初の『マクロス』は、当時はロボットアニメの全盛期でしたが、女の子が出てきて歌って感動させたらOKっていうストーリーのものは他にはなかった。その時はなんでそうなったんですか?

河森
美樹本くんと学校で話しているときに、彼がリン・ミンメイのスケッチを描いたんですね。その中にマイクを持っている絵があったんです。これ、いいじゃんってなって、歌わせる話と文化を持たない巨人という設定ができたんです。ラストシーンはなかなか思いつかなくて。でも戦争を兵器で終わらせたら、何百何千とある物語と変わらなくなってしまうから、そこだけは変えたかったんですよ。ミンメイが歌って、敵がこちらに意識を向けてくれて戦争が終結したら、これは今までにないストーリーだなと思いついたんですよ。それを提案したら、多くの人に反対されちゃったんですよね。でもそこは原作者特権みたいなものでやらせてもらいました

吉田
反対されたけど、それは新しい物語だという確信があったんですよね?

河森
そうですね

吉田
そこから『フロンティア』に続いていくんですね

佐武
歌姫をダブルヒロインにして、2人ともアイドルとなると、被る部分があるんじゃないかと思うんですが、どうしてダブルヒロインにしたんですか?

河森
今の時代は音楽性が広がったので、1人の歌手で表現するのは難しいなと思ったんですね。あとは世の中のサイクルが早くなっているのもありますね。ミンメイは9話でミス・マクロスになるんですけど、そんなサイクルでは視聴者はついて来てくれないので、まずはトップスターのシェリルとそれに憧れるランカという構図にしたんです。音楽性も洋楽風と昭和アイドル風に振り分けをすると音楽も広くカバーできるかなと

――河森作品にとってとても重要なのが「アイドル」。そこでVTRを用意してみました。「マクロスF」のダブルヒロインのランカとシェリル。現実のオリコンチャートも賑わせたホンモノの歌姫たち。「AKB0048」では芸能活動が禁止された近未来でみんなに歌を届けるために戦う少女たちが描かれています。「超時空要塞マクロス」では、リン・ミンメイの歌が戦闘しか知らない異星人の心を動かします。河森作品でのアイドルはただ歌って踊るだけの存在じゃなく、物語に深く関わってくる存在なのです。

佐武
30周年の記念イベントもいきました! 歌が本当に魅力的で、マクロスはキャラクターがアーティストだと思いました。私たちの世代は本当に影響を受けています

河森
ありがとうございます

吉田
この30年間の音楽シーンで、アイドルは、松田聖子さんたちの世代が一度トップを取っているんだけど、衰退した時期もあった。その間もマクロスはアイドルをテーマにおいてきましたよね

河森
アイドルの意味合いは変わってきたとは思うんですけど、毎回、違うアプローチをしてきたんですね。『フロンティア』は、変えるんじゃなくて昔やったことを今の音楽性の中でやったらどうなるんだろうと思ったんです。システムは変わっても人間の感情がそんなに変わっているわけではないからできるかなと。あ、でも舞台を学校にしたのは、軍人とアイドルだと遠すぎるからですね。アイドルもちゃんと生活をしているところも見せたかったし、同じ学生として出会うという形にしたかったからです

吉田
今までの話を伺っていると、河森さんは出したいものがたくさんあって、それをつなげるとどうなるのかというところで考えているのかなと思いました

河森
そうですね。それに近いと思います

吉田
もともと飛行機が好きという男の子も多いし、アイドルが好きという男の子も多い。そこを一緒にやろうと考える人はあまりいないんじゃないかと

河森
最初に『マクロス』をやったときは、ミンメイが歌うだけで『戦場で歌うなんてふざけるな』という意見もありまして、戦場に慰問に行くのは普通だから、逆に世の中の人はあまり知らないんだなと驚きました

吉田
飛行機は、機械工学を専門に選ぶぐらいだから好きなのはわかるんですが、アイドルは好きだったんですか?

河森
そう思われるほど極端に好きなわけではないんですが、現象として面白いと思いますし、惹かれる理由もわかります

佐武
でもストーリー構成は恋愛の経験があって作っているんじゃないですか?

河森
自分の経験も入れてますけど、一般人がアイドルと恋愛できることはなかなかないから、過剰な妄想も入っていますよね

吉田
いいぞ、いいぞ佐武さん。もっとストレートにアイドルと付き合ったことあるか聞いてください

佐武
付き合ったことあるんですか?

河森
それはさすがに…(笑)

アニメは神話だ!

吉田
ものすごくアニメーションに対するフェティッシュなところはあると思うんですけど、いろいろな表現の中で、一番自分を表現できるのがアニメだからアニメをやっているんでしょうか?

河森
面白ければ手段はなんでもいいと思うタイプなんですよね。自分のイマジネーションが形になるのが好きですね。自分の中にはそこに垣根はないんです

吉田
僕、河森さんが演出した東京ドームコンサートとか見てみたいですもん

河森
やってみたいですねー

吉田
やっぱりやってみたいんだ

佐武
フロンティアを見て、未来のライブはこうなっているのかなって思いましたもん

河森
ほんの数年前まで、未来の技術と言えていたんですけど、ここ最近、技術が格段に上がりまして、だんだんできそうになってきたんですよね

吉田
初音ミクのライブも、基本的には透過スクリーンで後ろ側から(映写を)やっているわけですから、映像表現も使えるようになっているんですよね。初音ミクのライブはご覧になったことは?

河森
ありますよ。新しいメディアがすごく好きなんです

吉田
河森さんはアニメの中に閉じこもっている人ではないことがよくわかったんですが、以前、お話を聞いてすごく印象的なことがあったんですよ

――ここで吉田さんが持ちだしたエピソードは、すごく意外なお話でした。旅行好きな河森さんは、以前中国のTVがないような場所へ出かけられたそう。そこで出会ったのは、本当に目がキラキラと輝く子どもたち。「アニメがやっていない地域に行くほど、子どもたちの表情がイキイキとしてくる」と語った河森さん。このことについてどう思われているのでしょうか。

河森
本当に深刻な問題なんですよ。ちょうど『愛・おぼえていますか』が終わったころで、ほぼ30年前ですかね。北京でも夜になると真っ暗になってしまうような時代でした。そんな時代に電気もテレビもないような奥地に行ったんですね。奥地に行けば行くほど、子どもたちの目がキラキラと輝いていく。これが生物としての人間みたいな印象を受けたんです。でも日本に帰ってきたら、(子どもたちの目が)人形というかアンドロイドかフィギュアのような印象で、それがショックだったんです。それでしばらくアニメは作れなくなっちゃったぐらい

佐武
えー、そうなんですか!?

吉田
それを聞いて、僕が思ったのは、今、日本で一番楽しそうなのは、アニメを見ている大人たちなんですよ。僕、自分より楽しそうな37歳に出会ったことがない。さっきの中国の子どもたちと真逆の生活をしているのに、楽しみ方は負ける気がしないです

河森
僕は彼らに出会っていろいろ取材を重ねるうちに神話みたいなテーマに辿り着いたんですよ。巨大ロボットに憧れるのは、神話の巨人に憧れるのと同じ気持ちなんじゃないかなと。今は科学や宗教問題があって迷信なんて言われて神話を信じられなくなってきていますが、それでも神話がなくなるわけではなくて、ファンタジーや現実的に起こりえないことは、アニメが体現しているんじゃないかなと

佐武
あたしも戦争のことを授業では習いましたけど、実際に体験しているわけじゃないから、本当の苦しみやその人がどういう思いで戦っているのかは理解できないじゃないですか。でもアニメはそこまでのストーリーを描いてくれるので、人が戦っている意味だとか、戦争の怖さも勉強になるなと思いました

河森
『フロンティア』を作っているときに、そういうことを体感的に感じてもらえたらいいなぁと思っていたんですよね。人間って論理思考が強すぎて体感的に理解することって難しいんですよ。なので、ストーリーを作るときにちょっとだけ破綻させるんです。わざと世界を壊していく。予定調和は人間の頭の中から抜け出せないんです。日本にいる以上、日本人だから日本の思考体系から抜け出せないけど、中国行ったり、インド行ったり、アマゾンに行ったり、先日もアラスカに行ってきたんですが、日本の常識が通用しないところに行くと始めて活性化されるところがあって、そういうことが映像でも表現できるんじゃないかと思っています

吉田
アニメは神話であり体感(するもの)だと

河森
そういうところに行き着いて、なんとかこの仕事を続けられています

吉田
ご神体であるロボット、歌のない神様はいないから、アニメは本当にひとつの神話体系を作っている…?

河森
もともと神々の形を表現するのが劇であったり舞台であったりしたわけだから、神々を象(かたど)った仮面がキャラクターになったのがアニメなんじゃないかなと

佐武
すごい…

吉田
つまり、フィギュアは神様の仮面と同じということでしょうか

河森
本質的には同じだと思いますよ。何千年前の土偶は、今で言うところのフィギュアですもの

吉田
なるほどー! 人間がアニメを好きなのって普通なんだ

河森
生物的に、何かを象って物語を作るというモチベーションがあるんだと思いますよ

吉田
そういうモチベーションの河森さんが次にやることをVTRで紹介したいんですけど、すごく不安なタイトルがついてるんですけど。『多次元???』って何?

――河森さんの新しい作品、その名も「ノブナガ・ザ・フール」。河森さんのかっこいいメカがたくさん登場します。壮大な世界観が早く話題沸騰中。でもまだ謎の部分が多くよくわからない部分も。番組ではいろいろ調べてみたんですが…、アニメじゃなくて舞台もあるんですか? アニメと同じ声優さんがボイスアクトを担当するってどういうことでしょうか? 教えて、河森さん!

吉田
今、公開されている情報を集めるとこうなったんですよ

河森
もともと舞台で何かやらないかと誘われていて、別のところからオリジナルのロボットアニメをやらないかと声をかけられたんですね。自分としては、戦国物で信長を主人公にしたものがやりたいなーと思っていて、今はオリジナルだとキャラクターの名前を覚えてもらうだけでも大変なので、一緒にやってみようかなと。プロジェクト合体ですよね

吉田
河森さんの手元に来るまでは別々の企画だったんですよね?

河森
そうですね。クライアントからすると(笑)

吉田
アニメで信長のものがやりたいというのは、アニメクリエイターとしてなんとなく理解できますが、舞台の経験は…?

河森
企画を受けた時点では未経験でしたね。そのあと『AKB0048』のようにアニメとライブを同時にやる作品があって、それが面白かったんですね。アニメを作るのって時間かかるけど、ライブはもっと速いサイクルで動いていく。それがすごく大変だけどすごく面白くて

吉田
マクロスシリーズの時も舞台があったんですよね

河森
マクロスはこの企画が始まったあとだったので、とても勉強になりました

吉田
ダブルキャストというのは見たことがあるんですが、ボイスアクトとライブアクトってなんですか? アニメならわかるんですよ。キャラクターがあって、声があってと

河森
それと、カズキヨネさんのイラストも使って、三位一体で1つのものを表現しています。どうなるかわかんなかったんですけど、わからないことに挑戦しないと面白くないじゃないですか。今、舞台稽古に入っていて、昨日も見に行ったんですけど、面白くなりそうです

吉田
絵が動いていればアニメーションだとか、人が演じていれば舞台なのかとか、そういう定義付けの部分をすべて分解しているように思うんです。1つだけ共通していることは、常にエンターテイメントであろうとしているところ。ずばりエンターテイメントとは何ですか?

河森
これは『フロンティア』を作っているときに再体験したのですが、昔のお祭りかなと。神話って神秘的なものだけじゃなく、バカバカしいものもある。聖なるものと俗なものが一緒になってすごい力を発揮するのがエンターテイメントなんじゃないかなと。舞台はすごくそうなんですけど、整いすぎたものってあんまり面白くなくて、ちょっと失敗するかなというところがいいんです。失敗しても前向きに倒れようと思っています

吉田
『これはこういうもんだからやらない』という除外思考はしない?

河森
そうですね。最近気になっているのは、若い子の多くが限定思考になっているところ。そうするとすごく窮屈になっていくんですよね。楽しくなってくると細かいことは気にならなくなっていくんですよね。自分はそのほうが好きですし。いろいろなことにトライして楽しいことができたらいいと思っています

――最後に「よアニ製作委員会責任者・吉田」の状況を報告! 音声パートだけ収録済みのまま、どんなアニメを作るべきか散々会議をしたのに答えは出ず…。とりあえずサンプル動画を作ることになって、そのサンプルができました!! 

佐武
すごいじゃないですか!

吉田
人を怪我させなきゃなんでもいいんじゃないかと思うようになってきました

河森
そうですよね。作り方にこだわる必要ってないと思いますよ。大胆な発想があって面白いじゃないですか

吉田
みんな、今、これを録音しておいてね! 今の言葉を励みに僕はこの後も暴論を振りまいていきます!

「怖さとエンターテイメントは近いところがありますよね」と河森さん。これからもたくさんの作品を期待しています

今日の一筆

佐武
このイラスト、すごく欲しいです!!

吉田
残念ながらこれは番組でいただきます

河森
佐武さんからも『マクロス』のことが好きだという気持ちがすごく伝わってきました。昔、パイロットの人が「マクロスを見てパイロットになりました」という話は聞いたことはあったけど、アイドルが「マクロス」を見てくれていたなんてすごいことですね。現実との相乗効果があるといいなぁと思って作っていますから、本当にうれしいです。『ノブナガ・ザ・フール』で舞台とアニメを組み合わせましたが、今後はできる限りいろいろな表現を組み合わせてみたいですね。普通じゃ表現できないことに興味があるんですよね。舞台って、つまらない舞台はつまらない映画よりも遥かにつまらない。でも面白い舞台は面白い映画よりも遥かに面白い。情報としてそれだけ受け取れるということは、映像は表現が足りていないだけなんじゃないかと思うんです。新しいトライをしていく中で、舞台で表現できること、映像にフィードバックできることを見つけていきたいです。『ノブナガ・ザ・フール』は、西洋、東洋問わず、戦国時代には志半ばで散っていった人たちがたくさんいて、そういう人たちがもう一度集う世界でどんな物語を紡ぐのか。そういうダイナミックなところを見て欲しいと思います
佐武
緊張しすぎて昨日は寝られなかったんですよー。『マクロス』は、私が歌を好きになったきっかけのアニメなので、本当に大好きなんです。シェリルやランカのように歌で何かを伝えられるんじゃないかと思って、これまで活動してきました。恋愛模様とか三角関係の切なさとか、そこで青春しちゃったんですよね。今日は本当に神様とお話しできて嬉しかったです

エンターテイメントとは何かという話と、神話の話は、河森さんの言う通りだなと思いました。わざわざ整合性を取れたものをずらすという話は、僕が感じていた通りでしたね。とある書評家さんと話していたときに、小説を読むのは現実逃避のためだとおっしゃられて、僕はそれが疑問だったんです。でも、河森さんは現実とコミュニケーションを取ろうとしている。僕は、アニメは現実を面白くするために見るんだと思っているので、河森さんとお話しして、僕の考えが間違っていないことを確信しました。

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