吉田がキャラホビで企んでる

”今、自分がいちばん見たい番組みてキャラホビを目指す”というコンセプトのもとに吉田が話題のアニメに物申す!

放送まとめ

吉田がキャラホビで企んでる第3回「日本アニメ史上初の試み!」

投稿日:2016年4月30日 更新日:

「今期はアニメが大豊作。普段見ない人が見ても面白いシーズンになっています」と吉田アナ。「今日もやりたいことをやらせていただきます!」と元気に番組開始。よアニ第3回のゲストは、話題のアニメ「惡の華」の監督、長濵博史さんです!

 
ゲストProfile
長濵博史(ながはまひろし)。アニメ監督。アニメ監督。演出家。マッドハウスで動画、原画として数々の作品に参加。その後フリーランスになる。代表作は、初監督作品の『蟲師』や、『デトロイトメタルシティ』など。『惡の華』では、日本アニメ史上初の全編ロトスコープ作画が話題となった。

「俺にしかできない作品」を作ると思い込んで制作しています

吉田
昔、西遊記を読んで玄奘法師はいくら経典のためでもやりすぎだって思っていたんですけど、今、もし好きなアーティストがインドでしかアルバム出さないって言ったら思わずインドまで行ってしまうかもしれない。そんな勢いで、今僕が一番会いたい人です

 
そんなふうに言っていただけてありがたいです

吉田
長濵さんに会いに行くと、話が面白すぎて延々と盛り上がれるんですけど、それが世に出ないのはもったいないということで、お呼びしちゃいました

 
これ生放送なんですよね。恐ろしい…

吉田
長濵さんは、本当のことをいうと世界の半分を怒らせてしまうような人なんです。どうせ怒らせるなら正面切って怒らせましょうよ

 
いや、僕は怒られるのは嫌だから…

吉田
だったらあんな過激な問題作を作っちゃダメですよー(笑)

――長濵さんの初監督作品は人気コミックをアニメ化した「蟲師」(※1)。日本人しか描けないだろう畏怖を抱く独特の世界観が話題に。

吉田
こんなに凝った作品がよく作れるなって感動しました

 
原作がそもそもそういう空気感の作品だったんですよ。原作の漆原先生に、コマとコマの時間の経過だとか、端っこにちらっと描かれているものはなにかとか、細かく聞きながら作りました。でも、今回、監督している「惡の華」(※2)の押見先生もそうなんですけど、原作の先生の中では無自覚にやっていることが多くて言葉にできないことがあって、それを試行錯誤しながら映像化するのが面白いです

吉田
蟲師って映像を見ると今までとは全然違う作品でスゴイんですよ。でも何がスゴイのかはうまく説明できない。スゴイ監督さんがいるなぁと。それで長濵さんのことを知ったんですね

 
ありがとうございます

吉田
で、そこからなんで「デトロイト・メタル・シティ」(※3)なのかと。普通に考えて、蟲師の監督にはDMCは頼まないですよね

 
そうですか…? 僕は「すごいよ、マサルさん」(※4)が演出家のデビュー作だったのでコメディのほうが多いんですよ

吉田
え、もしかして、蟲師のほうがイレギュラーなんですか?

 
ギャグアニメはなんのストレスもなく作れましたよ

吉田
DMCって原作がすごく面白いんですけど、マンガとアニメは一緒ではないじゃないですか。マンガはキメのコマを1つ描けばいいけど、アニメはそれじゃダメですよね

 
『グロテスク』という曲のPVで主人公のクラウザーさんが業火に焼かれるシーンがあって、赤ん坊のゾンビみたいなものが体中にまとわりついて、それが轟々と燃えていて、クラウザーさんが炎に包まれながら歩くんですけど、フルアニメ(※5)で、CGも使って、ヌルヌル動く絵を作ったんですよ。そこまでやっても、マンガの1コマのインパクトには追いつかない。というより、その一コマで読者が想像するイメージに敵わないんですよね

吉田
こう言ってしまうと大変失礼なんですが、僕もマンガとアニメがある作品だと、マンガのほうが面白いと思うことがあります

 
なので、僕はアニメを作るときに、いちファンである自分を失望させないぞ、「これは俺にしかできない」と思い込んで作るようにしているんですよ。DMCの原作を読んだ時に、このアタフタした感じとか荒々しさはアニメでは出せない、実写でやったほうがいいと思ったんですね。それで、やるんだったらマンガと同じ感覚で見られるアニメにしようと思ったんです

【編集注】
※1 漆原友紀のマンガを原作にしたアニメ。精霊や妖怪に近しい存在である「蟲」を使って様々な奇異を解決する霊能力者・ギンコを主人公とする伝奇物語。江戸末期から明治初期にかけての架空の日本が舞台になっており、日本の原風景を思い浮かべるようなノスタルジックな世界観となっている。第5回東京アニメアワード・テレビ部門優秀作品賞、美術賞を受賞している。

※2押見修造のマンガを原作としたアニメ。地方都市の中学校に通う少年少女の鬱屈した青春を描いたサスペンスホラー。「絶望」というテーマから思春期特有の揺れ動く感情を描き出している。主人公の春日高男がふとしたきっかけからクラスの美少女の佐伯奈々子の体操着を盗んでしまうことから物語が始まる。世界初全編ロトスコープで制作されたTVシリーズアニメ。

※3若杉公徳のマンガが原作。大分県の片田舎からポップミュージシャンを志して上京した根岸崇一は、ひょんなことからデスメタル界の帝王ヨハネ・クラウザーII世として活動することになってしまう。劇中歌は根岸が作詞作曲しており、実際にCDが発売された際にはオリコン週間ランキング初登場4位を記録、社会現象となった。

※4 「セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん」のこと。うすた京介のマンガを原作としたアニメ。わかめ高校の空手部に突如現れ、部を乗っ取ったセクシーコマンドー使い・花中島マサルと、セクシーコマンドー部の奇妙な部員たちの学生生活を描いたシュールギャグ。背中にチャックを持つ謎の生物・メソなど奇抜すぎるキャラクターと支離滅裂なギャグストーリーで絶大な人気を誇った。ちなみに本伝はない。

※5 日本のアニメはリミッテットアニメと呼ばれ、1秒間に8枚の絵で構成されている。フルアニメは1秒間に24枚の絵を使って作る手法でディズニーなど海外のアニメーションで使われている。8枚の絵で動かすリミテッドアニメに比べて動きを細かく書き込めるので、ヌルヌルとなめらかに動いているように見える。

長濵さんには大人が踏むべきブレーキがない

吉田
長濵さんは、普通のアニメとはなにか違うアニメを作ってしまう監督なので、次にどんなアニメを撮るのかすごく楽しみしていました。それで次は「惡の華」で、いろいろな情報を集めたら「やっぱ長濵さんだわ」と思うに至りました

――「惡の華」は物語自体にもインパクトがあるが、それよりも話題となっているのが、その絵柄の違い。

吉田
すごい反響ですよね

 
そうですね、ヒロインが可愛くないとか、なんとか。

吉田
僕は、このアニメを見て、そうそう、僕らが見たかったアニメってこれだよって思ったんですよ。第1話の放映イベントの司会もやりましたが、会場が団結したのを感じたんですよね。これは時代が動くぞっていう空気感。このままだと九段下で暴動が起こるんじゃないかと思いましたもん。でも実際は全然違う反応で…

 
僕、アメコミが好きなんですけど、小学生のころにスパイダーマンと出会って、ほとんどの友達は気持ち悪いと言ったんですね。こういうロトスコープ(※6)は、「うわ、なんだこれ」って言われるだろうと思っていました。なので、この反応は想定していましたよ。思った以上にドン引きされてますけど(笑)。でもそれでいい。テレビでやる以上は、「うわ、なんだこれ、ちょっと気になる」という引っ掛かりを大事にしたいんですよ

吉田
よくアニメファンってアニメを見ない人に「アニメの何がわかる」って怒っていますけど、この絵柄だから見ないって、お前らが怒っている奴らと同じだぞ、って言いたい

 
でもこれだけ反応があるということは、引っかかってくれた人がいっぱいいるんだと思ってうれしく思いましたよ。大嫌いは大好きになる可能性があるんで

――長濵さんは「惡の華」の監督を一度は断っているのだそう。原作マンガを読んで「この作品はアニメには向いていない」と直感的に感じた長濵さんは、「実写にしたほうがいい」と返答したそうです。それでも「アニメにして欲しい」と頼まれ、長濵さんが取った手段が「ロトスコープ」。

吉田
TVシリーズを全編ロトスコープで制作したのは人類史上始めてらしいですよ

 
喜んでいいのやら…。見た人が「妙な作り方しているな」って記憶に残ってくれればそれでいいんです。何かの時に思い出してもらって、あれはなんだったんだって言われるような作品にしたいですね。「あの人の作品はなんなんだ」って言われたら、幸せじゃないですか?

吉田
幸せかどうかはわからないですけど、わからなくはない…、いや、僕は目の前の人に柔らかく迎え入れてほしいです

 
もちろん柔らかく受け入れられたいんですけど、作品が柔らかく受け入れられないような作品だったら、あえて改ざんするよりもその印象に従うようにしている。こういう作品をやると決めたらその方向にしかいかないんです

吉田
なるほど

 
みんなキモイって言いますけど、僕はこのロトスコープの女の子はかわいいと思う

吉田
記号論みたいなことを言うつもりはないんですけど、キャラクターの女の子をかわいいって思うのって脳の高次機能だと思うんですよ。僕らが見ているものって、例えばマンガだったら紙と鉛筆の固まりでしかない。でもその向こうに価値観を見いだせるから作品として成立している。長濱さんは「惡の華」という作品の向こう側を映像化するにはロトスコープしかないと判断したわけですよね。

 
女の子を売りにした作品ではないので、もっと人間に近い表現でやりたかった

吉田
原作の押見さんがいうには、押見さんは「きっとこんな感じになるだろう」って大きなプールを用意したんだけど、長濱さんは「こんなの釣りたかったんです」って巨大なネッシーみたいなのを釣り上げちゃって、「こんなのはいる気はしていたけど、まさかこんなに大きかったなんて」と思ったそうですよ。僕、「蟲師」の漆原さんも、DMCの若杉さんも、押見さんもお会いしたことあるんですけど、3人とも長濵さんについて「やりすぎ」って言っていました

 
うわぁ、やっぱりブレーキついてないのか…

吉田
でも全員が「ありがとう」って言っていました

 
蟲師のセリフでもあるんですが、「感覚をわかちあうのは難しい」というのがあって、原作アニメを作るときって、自分の感覚と向き合って掘っていくしかないんですね。掘り続けていると残る選択肢って一つしかないんですね。やるしかないんだってブレーキのない状態で進んでいくしかないんですよ

――と、話が盛り上がってきたところで番組の時間がいっぱいに。「話したいけど番組の枠組みは守ります」と泣く泣く話を中断。これも生放送ならではのこと。「今日は映像2本しか見られませんでした。話が終わりません。もっと話したいことがあります」と、生番組中に次回の出演をオファーする吉田さん。ということでもう1回長濵さんを呼びます!

【編集注】
※6 「惡の華」のヒロイン。クラス1の美少女でいわゆる優等生の良い子。その心の中には狂気を持っており、春日に対してヤンデレ的な要素を持っている。
※7 実写映像を撮影し、その動きに合わせてアニメーションを描く手法で、キャラクターのリアルな動きを描くことができる。ディズニー映画で使われている。

今日の一筆

m3_4
「蟲師」&「惡の華」。DMCは次の機会に取っておきますとのことでした

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